2016年12月28日水曜日

高音質なのはDSDよりだんぜんPCM?

小型高音質DAC「Mojo」の周辺機器も紹介
高音質なのはDSDよりだんぜんPCM、CHORDのDAC設計者

WHY?

英国のChord Electronics社(以下CHORD)は、DACの開発の最先端を走っている企業として知られている。そのCEOを務めるJohn Franks氏とDAC設計者のRobert Watts氏が来日。

 CHORDのアプローチは、汎用のDAC ICを使わず、FPGA上で独自のアルゴリズムを動かし、汎用のDAC ICとは桁の違う膨大な計算を通じて、高精度なD/A変換をすること。特に重視しているのは、音の立ち上がりや過渡特性(トランジェント)といった“タイミング情報”の正確さ。人間の耳や脳は、こうした時間軸方向の情報に敏感で、“音程”や“音色”、“リズム”“空間の表現”(音の遅延や反射、左右の位相のズレ)などに大きく影響するという。
 「2013年にHugoを開発した際には1マイクロ秒単位の精度で十分と思っていたが、最新機種のDAVEの開発に際しては、ナノ秒単位(1ナノは10-9)の精度が影響すると確認した」(Watts氏) 
 興味深かったのはDSDとPCMどっちが音のいいフォーマットかと議論した際に、Watt氏は断然PCMであるとコメントしていることだ。PCMはDSDよりも解像感が高く空間の奥行きや音離れがよいサンプルレートは低いが、補間の精度を上げればタイミング情報もより正確にできる。一方、DSDでは仕組み上、小さな信号を捨てるので、微細な情報が失われやすいと考えているようだ。